Osaka Bob FAMILY

Kim

日本画の新たな可能性を模索する、大阪出身の芸術家Mujimo(無地馬)

まいど、キムです!
今日は日本ならではのアート・日本画を手掛ける先生を紹介します。

日本画とは日本の伝統的な技法で生み出される絵画で、自然や歴史、文化を題材にした作品は、海外でも高く評価されているんだ。
そんな日本画だけど「私は芸術に詳しくないから」「絵画は難しい」と思う人もいるはず。そこで、今日が大阪を拠点に活躍されている日本画家のMujimo・無地馬先生(以下Mujimo先生)にお話を聞きました。2025年4月2日(水)~8日(火)にはあべのハルカス11階のアートギャラリーで個展も開催するので、そちらの情報もお届けします!

[目次]

自然や競走馬の美しさを伝える日本画家・Mujimo

Mujimo先生は日本画・デジタルアートで自然の美しさと儚さ、大切さを伝える、大阪出身のアーティスト。2021年に初の個展を開催して以来、これまで旅先で出会った風景や、懸命に駆ける競走馬などを題材にした作品を発表してきました。

「いくつもの試練を乗り越え、人々の期待を背負って走るサラブレッドの姿はただただ美しく、憧れに近い感情を持って描き続けてきました」とMujimo先生。一方、風景画については「伝えたい美しさを旅先などで見つけては描いています」と話し、心打たれた空や海の景色、趣味のスノーボードで出会った北海道・ニセコの風景や蝦夷鹿、さらには同地の雪を扱う抽象画を多く制作しています。

日本画×デジタル。伝統芸術の可能性を信じて

数々の日本画を手掛ける中、Mujimo先生は日本画にエフェクトを加えたデジタルアートにも挑戦しているんだ。
日本画は小さな島国で生まれた、繊細な文化の結晶。その素晴らしさは世界中の人々が認めているけれど、持ち運びが困難な美術品であるために、誰でも簡単に触れられない。そこで、Mujimo先生は日本画に動きや言葉をつけて、動画のように楽しめるアートにできないかと考えた。
先生の個展へ行くと、作品のそばのQRコードがあり、読み込むとスマートフォン上で絵が変化していく。目の前の作品を見比べるのも面白い。

「かつてアンディ・ウォーホルが、大量生産可能なシルクスクリーンの技法で大量消費社会を表現した作品のように、日本画をデジタルアートに変換することで、“自然”から得ることのできる美しさや発見を、よりメッセージ性を含んだ形で伝えられると信じています」とMujimo先生は言う。パウダー状の新雪の上に、世界中の言語で「雪」を表す言葉が表示されていく作品「Snow|雪」(https://www.artstation.com/artwork/WXJna3
)や、白から青・緑・紫へと変化する雪道に「Does snow have color?」「Differ between morning and noon,noon and evening.」のメッセージをのせた作品「yukimichi」など、Mujimo先生はさまざまな仕掛けを試みているんだ。

また、紙芝居のように絵が変わるごとに穏やかな雪原が吹雪へと変わっていく作品「Horizon of snow|雪平線」(https://www.artstation.com/artwork/dyGm0w)は、静止画である絵画の時間を動かした作品と言える。
デジタルアートはMujimo先生のサイトやInstagramでも見ることができるよ。

▶サイト
https://www.mujimo-jp.com/
▶Instagram
https://www.instagram.com/mujimo_jp2022/

自然界で生まれ、還るその間に。サステナブルな芸術として命を吹き込む

幼少のころから絵を描くことが大好きだったMujimo先生。
大学ではグラフィックデザインを専攻し、その後はデザイナーや絵画教室での講師を担当しながら、日本画の創作活動に取り組んだ。
日本画の創作活動を続けている理由について聞くと、Mujimo先生は「日本画は使用する材料のほとんどが自然由来。この世で最もサステナブルな芸術ではないか?とひらめき、そして日本画の可能性を強く感じました」と語ってくれました。

日本画は和紙や絹などに、墨や金箔、岩絵具(いわえのぐ)、胡粉(胡粉)で絵を描く絵画。岩絵具とは天然の鉱石を砕いた粉で、胡粉は貝殻から作られた白色顔料だよ。
かねてより、自然の美しさに魅了され、微力ながらもそれらを守り続ける力になりたいという思いを抱いていたMujimo先生が、現代よりも自然が身近に存在した時代に誕生した芸術に興味を持ったのは必然なのかもしれないね!
それ以来、「天然素材の粒子の粒で、自然界の雪や砂の粒を表現したい」と制作を続けているんだ。

また、Mujimo先生はこのようなサステナブルな作品も作っています。

ハワイで最も愛されているコーヒーブランドの1つライオン・コーヒー(https://hawaiicoffeecompany.co.jp/)の廃材を活用した作品。ハワイを訪れた際にアイデアが浮かんだんだって。この使用済みのコーヒー豆を顔料にして生まれた芸術は、現在は東京の店舗で飾っているそうです。
他にもハワイで着想を得た作品には、このようなものもあります。

雪とは対照的な色味で地平線を表現しているけれど、自然が教えてくれる教訓や体験といったところに共通点があると先生は話されていました。

自然界で生まれ、やがて自然に還っていくその間に、アートとしての命を吹き込む。「サステナブルなアートである日本画は、自然の大切さを伝える最適な手法だと信じています。しかし、一般の人にとって日本画は敷居が高いと思われがちな芸術でもあるので、多くの人に訴求するためにデジタルアートにも取り組んでいます」とMujimo先生は言います。

日本画の楽しみ方。絵画は勝手な解釈をして良い芸術

確かに絵画にあまり親しみがない人に話を聞くと「楽しみ方が分からない」といった声を耳にする。そこで、何か日本画を楽しむ心得がないか、Mujimo先生に聞いてみました。
「音楽を聴いて『この曲好き♡』と感じるくらいのノリで良いと思います。それから、日本画は抽象的な表現が多いので“知ったかぶり”くらいの感覚で鑑賞するのをおススメします。怒られるかもしれませんが、私も『この作品はきっと○○を表現しているのだろう』などと勝手な解釈をしています(笑)」。
ただし、Mujimo先生が言う“勝手な解釈”は、時に作者の想定を上回ることもあり、いろいろな人の感想や意見を聞くたびに「なるほど!面白い!」と感じているそうです。

なお、日本画を楽しむために、西洋画との一般的な違いをまとめると下記のようになります。

日本画 西洋画
画材 墨、岩絵具、胡粉、金箔など 油彩、水彩など
基底材 和紙や絹など キャンバスや洋紙など
描写法 平面的な表現と余白を生かした構図が多い 立体的にリアルな描写が多い

日本画は、その日の気温や湿度によって仕上がりが大きく左右されます。湿気で和紙が伸縮したり、乾燥で絵具が割れてしまうこともあるんだ。
また、基底材(絵を描く媒体)に色を定着させるには膠(にかわ)と呼ばれる固着剤が必要になるなど、画家の皆さんは手間暇かけながら制作しているんだ。

しかし、それゆえに日本画ならではの柔らかさと奥行きが生まれたり、素材が持つ独特の風合いを感じることができます。
「素材の粒子が雪の結晶に似ているとインスピレーションを受けて制作した絵もあります。日本画を鑑賞するときは、ぜひ絵に近づいて素材感も見てほしい」とMujimo先生は話していました。

Mujimo(無地馬)2025年日本画展のテーマはhorizon

そんなMujimo先生があべのハルカス近鉄本店11階にあるアートギャラリーにて個展を開催します。

Mujimo 無地馬|2025
日本画展 horizon

[日程]2025年4月2日(水)~8日(火)
[時間]10時~20時(最終日は16時閉場)
[会場]あべのハルカス近鉄本店 タワー館11階 アートギャラリー

テーマはhorizon(ホライゾン)。
海や雪原、夕日にはそれぞれ美しい境界線がある。でも、それら自然には美しさだけではなく、時には人々に牙を向く恐ろしい面も持ち合わせている。
「例えば豪雪地帯へ行くと、丸い雪の塊を乗せた樹木を見かけます。遠くから見ると雪の帽子を被ったようで可愛らしいのですが、木の下は雪の塊の下敷きになりかねない危険な場所なんです。自然の中で遊ばせてもらう中で、私たちは自然に教えてもらうことがたくさんあります。常に、学びや発見があると感じています。美しさと共に在るもの、その両面を伝えたいと思い、境界線(=horizon)をテーマに選びました」。
美だけではない、あらゆる面を教えてくれる。それが、自然とともに生きるということなんだね。

個展では、Mujimo先生が言う雪の塊を抱いた木々を描いた作品「snowBomb」も展示します。もちろんhorizonの名の通り、水平線を描いた作品も展示予定。

中には「海を描いたのか、それとも雪原なのか」と見た人によってイメージが異なるような作品もあるんだって。
その他にも、日本画=抽象画のイメージから少し離れて人物にフォーカスした作品、インテリアとして空間に飾れる小さな作品も出展。デジタルアートも19点を予定しているよ。

あべのハルカス アートギャラリーは、気軽に芸術に出会える場

Mujimo先生の日本画展horizonを開催する、あべのハルカス近鉄本店アートギャラリーについても紹介したいと思います。
こちらのアートギャラリーは、あべのハルカスがグランドオープンした2014年から続く施設。隣接する画廊が芸術のコア層向けであるのに対し、通路側に面したアートギャラリーは「アートを気軽に楽しむ」をコンセプトに運営されています。

一般的に、ギャラリーは大通りから隔てた路地にあったり、建物の奥に構えているなど、場所が分かりにくい場合が多いよね。しかし、こちらはたくさんの人が集まるあべのハルカス内の施設。しかも1フロア上がレストラン街だから、食事後に立ち寄る人も多いんだ。「あべのハルカスのアートギャラリーで個展を開きたい」と希望するアーティストが後を絶たないのも分かる気がするなぁ。


ちなみにMujimo先生も「ようやく、あべのハルカスのアートギャラリーで個展を開催できる!」と意気込んでいたよ。

アートギャラリーでの展示は1週間ごとに変わります。さまざまなコンテンツを楽しめるので、あべのハルカスへ遊びに来た人は、ぜひ11階のアートギャラリーにも立ち寄ってはいかがでしょうか?
詳しい情報はこちらから!
https://abenoharukas.d-kintetsu.co.jp/floor/tower/11

日本画をもっと身近な存在に。Mujimoの目指す未来

日本画展horizonの開催にあたり、Mujimo先生はDMに東北コットンCoCという紙を採用しました。

東北コットンCoCとは、綿の茎繊維と森林認証パルプを混ぜて製造した紙。2011年の東日本大震災の津波による塩害を受け、稲作が困難になった農地で栽培された綿(コットン)を使用しているんだ。茎繊維の模様が特徴だよ。
「DMを印刷できる会社を探す中で、“東北コットンプロジェクト”という取り組みを教えてもらいました。話を聞いて、サステナブルな紙であること。そして、10数年続く持続可能なプロジェクトであることが、自分のコンセプトに合致すると思い、個展のDMにしようと決めました」。

愛する自然がいつまでも受け継がれていきますようにー。
その願いを作品に込め、デジタルも活用しながら発信するアーティスト・Mujimo先生。日本画の裾野を広げ、新たな可能性を探求する旅はこれからも続いていきます。

Mujimo(無地馬)
大阪出身の日本画家。時代に合わせて何色にも変化できる“無地”と、幼いころから憧れていた競走馬を合わせてMujimo(無地馬)の名で活動している。
サステナブルなアート・日本画を通じて、自然の素晴らしさ、大切さを伝える。また、若い世代や海外の人が興味を持つきっかけとして、日本画×デジタルアートにも挑戦中。

Osaka Bob FAMILY

Kim

掲載内容は配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

マップ上の表記はMap Tilerの仕様に準拠します。実際の地名とマップ上の表記が違う場合があります。