
Osaka Bob FAMILY
堺を観光しないなんてもったいない!さかい利晶の杜へ行ってみよう
まいど!Osakaボブです。
ありがたいことに、大阪は海外のさまざまな観光都市ランキングで上位に評価されています。関西国際空港の利用者も増えていて、飛行機で大阪へ遊びに来た人も多いでしょう。
しかし!そんな皆さんにお聞きしたい。
「関西国際空港と大阪をノンストップで移動してへん?」
それはもったいない!だって、そこにも観光すべきスポットがいっぱいあるのに~💦
というわけで、今回は大阪市に隣接する堺市へ取材に行きました。訪れたのは人気施設「さかい利晶の杜」と堺駅観光案内所。
どんな体験やサービスが受けられるのかを調査してきました。
[目次]
千利休の茶の湯と中世の堺を知る!「千利休茶の湯館」へようこそ

さかい利晶の杜は、堺ゆかりの偉人・千利休と与謝野晶子をテーマにしたミュージアム。二人を通じて、堺の歴史や魅力を体験できるんやって☺
さっそく入ってみましょう!
1階は千利休にまつわる「千利休茶の湯館」。
とその前に、千利休について簡単に整理しておきましょう。
- 千利休(1522年~1591年)は日本の茶道を大成した偉人
- 元々は堺の商人出身で、若いころから茶の湯に親しんだ
- 織田信長や豊臣秀吉に仕え「天下一の茶の湯者」と称された
- 最後は秀吉と対立し、切腹を命じられた
- 千利休の茶の湯は、表千家・裏千家・武者小路千家などの茶道流派に受け継がれている
日本の歴史を学んだ人なら、一度は聞いたことがある偉人やね。
そんな予備知識を踏まえたうえで、いざ「千利休茶の湯館」へ。

展示室に入ると精巧に作られた南蛮船の模型と、それを囲むように千利休にまつわるパネルなどの展示が並んでいます。
展示を見ると、彼が生きた中世の堺は、日明貿易、琉球貿易、南蛮貿易などの海上交易で巨大な富を築いた国際貿易都市であり、自分たちで街を運営する自治都市だったと紹介されています。なるほど、そんな街で生まれ育った千利休は、きっと当時のどの日本人よりもさまざまなものを見て、触れて成長していったんやろうね。

「利休と堺をめぐる人々」のコーナーでは当時の偉人がずらり。さすがは利休さんです(笑)
手前のパネルを操作すると人物を画像と音声で紹介。千利休の音声解説は、なんと堺市出身の歌舞伎俳優・片岡愛之助さんが担当してました!めっちゃええ声やからぜひ聞いてみて!

こちらは若かりし頃の千利休が過ごした茶室と、晩年に京都の聚楽屋敷に立てた茶室を並べた展示。よく見ると床の間の大きさや、使用している柱が違っているのが分かるかな?
「わび茶」という質素で精神性を重視した茶のスタイルを確立した千利休。その美学を感じられる展示やね。

▲展示内容は変更になる場合があります
その他にも、堺で使われていた茶器や茶会で出されていた料理の複製などがあります。千利休と茶の湯から当時の文化が解き明かされていくのが、とても新鮮です。
個人的には地図も面白かった。だって、まだ北海道がないんよ💦そして、大阪の場所には「Osaka」ではなく「Sacay」の文字。当時の堺がいかにメジャーな存在だったかを物語っているね!
こうして「千利休茶の湯館はきっと海外の人も楽しめるスポットやなー」と思いながら展示室を出ると、「御財印」のスタンプ台を発見。

スタンプといえば、大阪・関西万博でも各パビリオンのスタンプ集めが話題になってたね。押している人がいたので、見せてもらいました。

御朱印のようなデザインでかっこいい!
2つのスタンプを重ねる仕様なんやって。よし、ボクもやってみよう!
与謝野晶子の情熱と文学に触れる「与謝野晶子記念館」
続いては2階の「与謝野晶子記念館」へ移動しましょう。
こちらも見学する前に、与謝野晶子について整理しておくね。
- 与謝野晶子(1878年~1942年)は明治から昭和初期にかけて活躍した歌人
- 女性の自立や平和を訴えた先駆的な人物として知られる
- 歌集「みだれ髪」や詩「君死にたまふことなかれ」などが有名。生涯で3万首以上の短歌を残した
- 「新訳源氏物語」を刊行するなど古典文学の普及にも貢献した
- これらの活動を12人の子どもを産み育てながら続け、女性の社会進出に大きな影響を与えた
100年も前にこんな女性がいたんや!って思わへん?
それでは「与謝野晶子記念館」も見ていくね。

与謝野晶子の著書が並ぶ「晶子の装幀」を中心に、彼女の人生の軌跡や作品、創作の場を紹介しています。
この「晶子の装幀」では、本の表紙や裏表紙、口絵などを見ることができます。与謝野晶子の著書の装幀は一流の作家が手掛けたものが多いらしく、芸術的な価値も高いんやって(これは写真では紹介できないから、ぜひここに来て見てほしい!)。
ボクも本屋さんによく行くけど、芸術を感じる表紙ってなかなか見たことない。当時は本一冊にかける熱量が、今より高かったのかもしれへんなぁ。

こちらは与謝野晶子が記した言葉を、現代に生きるボクたちへのメッセージとしてまとめてくれているよ。どれもすばらしい言葉なんやけど、ボクは「君死にたまふことなかれ」が印象に残ったなぁ。
これは、日露戦争で出征した弟に向けて「どうか死なずに生きて帰ってきてほしい」と願いを込めて詠んだ詩。弟の身を案じた内容だけど、戦争を非難する思想と断ずる人もいて、大きな論争を巻き起こしたんやって。
みんなはどの言葉が心に響くかな?

館内にはほぼ実際のサイズで再現した、与謝野晶子の生家「駿河屋」もありました。
駿河屋は人気の和菓子屋さんだったようで、お店の中のケースには、明治21年のバルセロナ万博と明治22年のパリ万博で受賞したメダルが展示されていました。今でいう「ミシュランに掲載されちゃった♡」的なお店やったんかな?

店番をしながら文学作品を読んでいた、少女時代の与謝野晶子が思い浮かぶなぁ。
ちなみに、駿河屋と千利休の屋敷は徒歩10分くらいの距離らしい。時代を超えたご近所さんやったんやね。
他にもさまざまな貴重な資料が展示されていて、彼女の文学的な才能だけではなく、先進的な思想や人間的な情熱を知ることができるんよ。
“女性とはこうあるべき”という固定概念に挑戦し、自らの感情を自由に表現した与謝野晶子。すごいお人や!
【余談】与謝野晶子は子どもの名前もすごかった!
また一方では、微笑ましく感じる展示もありました。
それは、与謝野晶子の子どもの名前。
彼女は夫の与謝野鉄幹との間に6男6女をもうけたんやけど、とても珍しい名前を付けた子がいたんよ。
●与謝野晶子の子ども
長男:光(ひかる)
次男:秀(しげる)
長女:八峰(やつお)
次女:七瀬(ななせ)
三男:麟(りん)
三女:佐保子(さほこ)
四女:宇智子(うちこ)
四男:アウギュスト
五女:エレンヌ
五男:健(けん)
六男:寸(そん)
六所:藤子(ふじこ)
目を引くのは四男のアウギュストと五女がエレンヌやね。
まあ、これにはちゃんと由来があって、二人は晶子と夫の寛がヨーロッパ旅行で出会った芸術家などにちなんで命名したんやって。なおアウギュストは「考える人」で有名なオーギュスト・ロダンから命名。
また、他の子どもたちを見ても、現代でも使われていそうな名前も多い気がする。キラキラネームの最先端やったのかもね☺

こちらは与謝野晶子の書斎のイメージ再現。
きっと子どもたちも執筆活動をしている彼女の傍に来ていたんやろうね!
誰でもカジュアルに茶の湯体験!立礼茶席で日本文化に触れよう
さかい利晶の杜では茶の湯体験もできちゃいます!
今回は特別に立礼茶席を見学させてもらいました。

立礼茶席とは椅子に座って行うお茶席のこと。
通常のお茶席は畳の上で正座をするけど、こちらはテーブルと椅子が用意されているから、正座が苦手な人や、あまり馴染みのない海外の人でも気軽に体験できるね。


この日は裏千家のお点前のもと、堺の老舗・丸市菓子舗の和菓子が出されていました。
丸市菓子舗は明治28年(1895年)の創業以来、千利休にちなんだ和菓子を作り続けているお店。繊細でやさしい甘さを楽しんだ後に、すっきりとした苦みの抹茶をいただく。あぁ、これぞ日本文化!

先生の凛とした姿もとっても素敵やね!
こちらのお部屋は「南海庵」という名前がついています。
さて、この茶室を見て目に留まったのが床の間。この日の掛け軸は、瀧の文字の下部分がすっと伸びているね。なるほど、瀧を表現してるんやな。現代風に言うと“デザイン文字”というやつ?こういう遊び心を取り入れながら、季節も感じさせてくれるお茶の世界って面白いなぁ!
※掛け軸も毎月かけ替えており「瀧」の掛け軸は取材時のしつらえです。
●茶の湯体験「立礼茶席」
[時間]各時間帯の00分、30分開始(12時・16時台のみ12:00・16:00・16:40の開始)
[料金]大人(大学生含む)800円、高校生700円、中学生以下600円
また、表千家・裏千家・武者小路千家の当番制となっています。
三千家の輪番表は、さかい利晶の杜の公式サイトで確認できるよ。
https://www.sakai-rishonomori.com/tyanoyutaiken-2/
また、さかい利晶の杜には、西江軒(表千家)、風露軒(裏千家)、得知軒(武者小路千家)からなる茶室広間もあります。三千家の茶室が並ぶのは、世界中を探してもここだけ!
さらに、ここでは本格的なお点前体験もでき、三千家の指導のもと、実際に自分でお茶を点てることもできるんやって。
●さかい利晶の杜
[所在地]大阪府堺市堺区宿院町西2丁1番1号
[アクセス]阪堺線「宿院駅」から徒歩1分、南海高野線「堺東駅」からバスで約6分、南海本線「堺駅」から徒歩で約10分/バスで約3~5分(最寄りバス停は「宿院」。下車徒歩1分)
[開館時間]千利休茶の湯館・与謝野晶子記念館は 9:00~18:00(最終入館 17:30)、観光案内展示室は9:00~18:00、茶の湯体験施設は10:00~17:00
[休館日]千利休茶の湯館、与謝野晶子記念館、茶の湯体験施設は第3火曜日(祝日の場合は翌日)および年末年始。観光案内展示室は年末年始
[料金]大人(大学生含む)300円、高校生200円、中学生以下は無料
※観光案内展示室は無料ゾーン
※「千利休茶の湯館」「与謝野晶子記念館」は有料
※団体料金など詳しくは公式サイトで要確認
[HP]https://sakai-rishonomori.com/
[電話]072-260-4386
堺の今と過去をつなぐ「御船印めぐりプロジェクト」もチェック!
千利休と与謝野晶子を通じて、堺の歴史や文化、芸術を体験できるさかい利晶の杜。これは行ってみる価値があるよね?
そして、どうせならもっと他のスポットもめぐりたいという人もいるはず。そんな人は観光案内所へ行ってみましょう!

こちらは南海電鉄南海線「堺駅」1階にある堺駅観光案内所。
日本政府観光局(JNTO)の認定外国人観光案内所として、英会話ができるスタッフが常設しています。


堺市の施設やイベントのパンフレットを多数設置。情報収集をするならやっぱり観光案内所やね!
こちらの観光案内所ではお土産の販売もしていて、この日は古墳型や埴輪型のクリップ、畳のコースターなどが売れたそうです。日本を感じるものがやっぱり人気なんやなぁ!
なお、スタッフさん曰く「和菓子など日持ちしないものは置いていませんので、ぜひ和菓子屋巡りをして、直接お店でお買い求めください」だそうです。
さて、さかい利晶の杜では中世および明治~昭和の堺に触れることができたけど、実は堺の歴史はもっと古く、古墳時代までさかのぼります。
その代表が仁徳天皇陵古墳。日本最大の古墳であり、ユネスコ世界文化遺産に登録された百舌鳥・古市古墳群の一部やね。

この古墳群を築造するために多くの鍛冶職人が集まり、その技術は鉄砲(火縄銃)や堺の包丁へと受け継がれていく。そういえば日本で唯一残る鉄砲鍛冶屋敷があるのも堺市なんよ。
詳しくはこちら
▶日本で唯一残る鉄炮鍛冶屋敷が堺にある!失われた火縄銃の製造や歴史を体感しよう
https://maido-bob.osaka/2024/03/05/gunsmiths-home/
また、鉄砲鍛冶屋敷がある旧市街地には、空襲を逃れた町家が残るエリアがあり、町家歴史館山口家住宅や町家歴史館清学院など観光できるスポットも。海側へ行けばかつての貿易都市に思いを馳せることができる旧堺燈台もあります。


これらのスポットは半径4km圏内に点在。しかし、歩いて回るのはなかなか大変なので、堺駅観光案内所でレンタサイクルのサービスを利用するのがおすすめです!

自転車があれば、スイスイ~っと街中を回れちゃいます。電動自転車も借りられるよ。
あと、堺駅観光案内所ではこんなステキなフォトスポットを見つけました。

ザビエルさん♡
イエズス会の宣教師として日本へ来航したフランシスコ・ザビエルは、堺の自由都市的な雰囲気や国際的な商業活動に感銘を受け、「堺は日本で最も文明的な都市やんか~!」と言ったという話が残っています(やんか~はなかったと思うけど💦)。
そんなザビエルとぜひ記念撮影をしちゃいましょうね。
また、観光案内所のスタッフさんに聞いた話によると、旅行者からは「堺のホテルは大阪市内よりもリーズナブルで嬉しい」「大阪市へも電車ですぐにアクセスできる便利な場所だね」なんて声もあるみたい。
堺に宿泊して、初日は大阪市内、2日目は堺市内を観光するルートも良さそうやね!
それから、観光案内所に行ったら、スタッフさんに堺のおすすめを聞いてみて。ボクが訪れた日は、堺の和菓子屋LOVEな人やった!きっとステキな情報を教えてもらえると思うよ!!
●堺駅観光案内所
[所在地]堺市堺区戎島町3-22-1(南海堺駅ビル1F)
[アクセス]南海電鉄南海線「堺駅」直結
[営業時間]9:00~18:00
[休館日]年末年始
堺観光の拠点!堺駅観光案内所で情報収集&レンタサイクル活用術
現在、堺市では「御船印(ごせんいん)めぐりプロジェクト」という企画を実施しているよ。
御船印とは、全国の船会社や海事博物館で発行されているオリジナルの印。(一社)日本旅客船協会が公認している企画です。
堺市では、2025年大阪・関西万博の会場である夢洲へ船が出ていることと、南蛮貿易や日明貿易の拠点として栄えた中世の堺を踏まえ、今と過去の堺をつなげる2つの御船印を作ったそうです。

中世の堺をデザインした「Sacay」バージョンと、現在の堺をデザインした「Sakai」バージョンの2つは、並べると「勘合符」のように1つにつながるんよ!
配布場所は、この記事で紹介した「さかい利晶の杜」と「堺駅観光案内所」。無料でもらえるよ!堺を観光する中で、この御船印も集めてみてはいかがでしょうか。

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掲載内容は配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
マップ上の表記はMap Tilerの仕様に準拠します。実際の地名とマップ上の表記が違う場合があります。