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口コミで広まり大人気の絵本「雨水のぼうけん」。作者の矢放七海さんにインタビューしました

まいど!Osakaボブです。
(一財)日本森林林業振興会大阪支部が発行した「雨水のぼうけん」という絵本を知ってる?
2021年12月に1,000部の無償配布を開始するやいなや、口コミで広まってあっという間に配布終了になった本なんや。

作者を調べてみると、近畿中国森林管理局 箕面森林ふれあい推進センターに勤める矢放七海(やはなし・ななみ)さんだと判明!
大阪の人なん?
それはぜひ、お話を聞きに行かないとね!

[目次]

■制作秘話。幼児への読み聞かせにも最適な絵本ができるまで

「雨水のぼうけん」は、雨水の妖精になった小学生のユウちゃんが、森から水道の蛇口を探検して水のおいしさの秘密を知るという物語。
さっそく矢放さんに制作のきっかけを聞いてみると、「森林の楽しさを伝えるものを作らないか」という上司からの提案だったんやって。

絵本「雨水のぼうけん」作者の矢放七海さん

▲「雨水のぼうけん」を制作した矢放七海さん

「趣味で絵を描いていることは職場の同僚も知っていたので、私に白羽の矢が立ったのだと思います。森林はいざ学ぼうと思ってもお勉強ちっくになってしまいがちで、興味がない人は全然触れない分野だと感じていたので、絵の力を使って伝えたいと思いました」。

元々はキャンパスに絵を描いていた矢放さんやけど、5年ほど前にタブレットに描くデジタルの絵に挑戦。本やYouTubeで勉強し、今ではスラスラ~と使いこなせるまでにスキルアップした!
そんな矢放さんが絵本を作ったのは当然の流れ…と思いきや、最初に制作したのはPowerPointで写せるスライドだったみたい。

「雨水のぼうけん」の主人公をタブレットで描く矢放七海さん

▲物語の主人公ユウちゃんをタブレットで描く矢放さん

「森と水の関係は小学4年生の理科・社会などで学習することになっています。最近の小学校は教室でもスライドを映し出せる設備が整っているので、学習の補助教材にも使ってもらうにはデジタルがいいなーっと。そこで1枚1枚をスライドできて、紙芝居のように見せることができるPowerPointのデータで制作しました」

その後、少しずつ反響があり、昔ながらの紙バージョンを作ろうという話が浮上。挿絵も増やし、小学生だけじゃなく未就学のお子さんへの読み聞かせにもぴったりな絵本が完成したんや。

■1,000部の無償配布に問い合わせが殺到。1カ月で終了!

制作作業について矢放さんに聞いてみると、まずはストーリーを組み立て、そこに合う絵をラフで描く。1枚を描き切るのに約3日。こう聞くとえらい作業やな―って思うんやけど、本人はボクが思うほど大変でもなかったみたい💦

「ストーリーを考えるのは初めてでしたが、よくゲームに出てくる地下ダンジョンをめぐるイメージを膨らませながら物語を組み立てていきました。大好きなゲームと仕事で得た知見をミックスした感じかな(笑)。絵を描くのは根気が求められますが、途中で次の絵の線画を手掛けるなど気分転換しながら作業したので、そこまで大変ではなかったですね。
苦労といえば、私は植物などを精密に描く写実的なものが得意なんですが、絵本にするにはデフォルメして描く必要があったことですね。人を描くのは難しい!今、見直すと、アイデア段階でもきちんを描こうという癖が残っています」

絵本「雨水のぼうけん」のアイディア段階のラフ画

▲アイデア段階の表紙絵。「完成作品とは顔が違いますね。まだまだキャラクターが定まっていないなー」と矢放さん。

絵本「雨水のぼうけん」の表紙の下書き

▲表紙絵の下書き

絵本「雨水のぼうけん」の表紙

▲完成した「雨水のぼうけん」の表紙

3カ月ほどかけて試作品が出来上がり、矢放さんは職場の同僚にチェックを依頼。
小さな子どもがいる職員には原案を渡し、子どもに伝わりやすい言葉遣いなどを見てもらった。また、実際に子どもに読み聞かせしてもらい、子どもと読み手の感想も聞いて微修正。さらに林野庁が発行する媒体なので、内容に間違いがないかを同僚が確認してくれた。
こうやってたくさんの人の協力を得ながら完成したんや。

「本当に皆さんにサポートしていただいたおかげで、で良い作品に仕上がったと思います。
あとは『ちゃんと皆に読んでもらえるかな』という不安だけでしたね。これは絵を描いているときからずっといつも頭によぎっていました💦大勢の人が集まること自体が難しいコロナ禍でもあったので…」

でも、不安を吹き飛ばすように絵本は注文が相次ぎ、1カ月で用意した1,000部はすべて配布終了!
矢放さんは「雨水のぼうけん」を使ってくれた人、図書館などに広めてくれた人、地域のコミュニティで活用してくれたすべての人に感謝なんやって!

■大好きな自然に携わる幸せ。森林に貢献できるやりがい

そんな矢放さんの仕事についても聞いてみた!

「普段は林野庁の箕面森林ふれあい推進センターにいます。主に森林環境教育用の冊子を作ったり、森林ふれあい関連のイベントに携わっています。あとは週に1回くらいの間隔で森林に入って森のメンテナンスもしています。具体的には除伐作業や森に住む鹿が新芽を食べてしまわないように設置しているネットの点検です」

林野庁の箕面森林ふれあい推進センターのネットの点検作業

ボクは全然知らなかったんやけど、鹿はネットの向こう側に美味しそうな食べ物を見つけると、1~2mくらいのネットを飛び越えてしまうこともあるらしい! すごいな、鹿!

「ほんとに凄いですよね。あと飛び越えるだけじゃなくて、噛み切ろうとする鹿もいるんですよ。ネットに綻びがあると鹿が挟まってしまう可能性もあるので、チェックは欠かさないようにしています」

年中、山や森林に入るので体力が必要な仕事。しかも整備されていない山道を歩く。
どうして、この仕事を選んだの??

「子どもの頃から自然が大好きでした。父親も自然が好きな人なので、その影響かもしれません。とにかく、ずっと自然に関われる仕事がしたいと思っていました。
絵も好きだったので美術大学に行こうと考えた時期もありましたが、最終的には自然について学べる大学を選択。山の土を採取してその水分を調べるといったこともしました。そして就職活動をしようかという時期に林野庁を見つけて『めちゃいいとこあるやん!』となりました。実際にここで働くようになり、微力かもしれませんが自分の仕事が森林のためになっていると思えて、すごくやりがいを持って働いています」。

林野庁の箕面森林ふれあい推進センターの環境点検作業

■森の素晴らしさを子どもたちと共感したい!

コロナ禍がやや収まっていた2021年11月には、たくさんの親子連れで賑わう箕面キューズモールで読み聞かせのイベントを開催。「雨水のぼうけん」を楽しそうに聞いてくれた子どもたちが印象に残っていると矢放さんは話してくれたよ。

「私にとって森林は、心がワクワクする場所であり、安心できる癒やしのスポットでもあります。これからも自然を楽しく伝えられる作品を作って、森の魅力をたくさんの子どもたちと共感できたら嬉しいですね」

絵本「雨水のぼうけん」作者の矢放七海さん

「雨水のぼうけん」に続き、矢放さんは紙芝居「もくざいのヒミツ」も制作。
こちらは小学生のハルヒちゃんが木製の机の内部を探検し、木材の柔らかさや香りなどの秘密を学ぶ物語になってるよ。

人の暮らしを支えている森林の役割や魅力について、大阪から全国へ発信し続ける矢放さん。
きっとこれからも森と子どもたちをつなぐ、すてきな作品を発表してくれるはず。ボクも今から楽しみや!

森林環境教育絵本「雨水のぼうけん」

(カラー刷り・A4横版・30ページ)
※現在、絵本の無償配布は終了しました。

こちらからPDF版をダウンロードできます
森林環境教育絵本「雨水のぼうけん」PDF版をダウンロード

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