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豊作と悪疫退散を祈る。住吉大社の御田植神事

1800年もの歴史がある住吉大社で、これまた古くから伝わる御田植(おたうえ)神事が行われました!大阪に息づく伝統文化をマナブが紹介します!

もくじ

■華やかに舞い、豊穣を祈願

住吉大社の御田植神事で奉納される田舞
御田植神事とは穀物の豊かな実りをお祈りする行事。毎年6月14日に開催されてるねん。
日本では全国各地で五穀豊穣を祈願する行事が行われるけど、住吉大社の御田植神事は儀式を簡略化したりせず、‟昔のままの形式“で今も行っていることが大きなポイントなんや。
まずは早苗を捧げ持つ植女(うえめ)や、植女に付き従う稚児、豊穣祈願の神楽を踊る八乙女(やおとめ)など、神事に参加する人たちがお祓いを受ける。
次に宮司が神前に早苗の成長と秋の豊作を祈願。今年は新型コロナウイルスの収束も合わせて祈願していたよ。
御田へ向かう奉仕者の皆さん
古式に則って早苗を手植えする奉仕者の皆さん

その後は境内の神田「御田(おんだ)」へ行き田植えがスタート。御田講の奉仕者たちが古式に則って早苗を手植えする傍ら、中央の舞台では風流花傘(ふりゅうはながさ)を中心に8人の八乙女が円陣を組み、神職の歌に合わせて「田舞」を舞う。この田舞は住吉大社に伝わる神楽の1つで、御田植神事特有の舞なんやって。
(ちなみに今年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、田舞は田植え前に第一本宮前で行われた)
華やかな田舞を披露する八乙女

■勇ましく悪疫退散!風流武者行事

悪疫退散を祈願する御田植神事の風流武者行事
田舞に並ぶ見どころは風流武者行事。
甲冑を纏った勇ましい武者が日の丸の軍扇を月明りに見立て、武威を示す風流(ふりゅう)の所作をする。これはかつて長門国(今の山口県)の国司が綿を奉った時、その警護にあたった武士によって神前に武運長久を祈ったものと伝わっているよ。
武威を示す風流の所作
今年の武者大将による悪疫退散祈願は、世界平和と新型コロナウイルスの一日も早い感染収束の祈りも込められていた。彼の勇ましさにウイルスが退散することを僕も心からお祈りや!(ちなみに今年は風流武者行事も田植え前に奉納されたよ)

■廃絶の危機を乗り越え、伝承された神事

御田植神事を受け継ぎ、次に伝える奉仕者の皆さん
この御田植神事は211年の住吉大社鎮座に際し、神功皇后が住吉大神の御供田として神田を定めて、長門国から植女を召して御田植奉仕をさせたのがはじまりとされているんや。今から1800年も前から続いてるって思うと、ホントにすごいの一言やね。
ただこの間、何事もなく伝承されてきたわけじゃないらしい。
植女の末裔たちは旧社領の遊女となり、この神事の奉仕を続けてきた。でも明治時代に遊郭の存続が難しくなると、植女たちは居場所をなくし奉仕する人がいなくなってしまった。
一方で、この御田そのものも民間への払い下げが決まり、田んぼそのものがなくなるという神事廃絶の危機に。
それでも、現在の大阪市西区新町にあった遊郭・大阪新町廓が御田を買い上げたうえで住吉大社に寄進。さらに新町の芸妓が植女になることで、今日まで継承することができたんやって!
そして、昭和54年には国の重要無形民俗文化財に指定。今なお、こうして日本の伝統文化を見ることができるのは、たくさんの人たちの協力があったからこそなんや。

■余談ですが…。日本の神様について

1800年の歴史がある住吉大社
ここまで神事と書いてきたけど、海外出身のボブにはもう少し説明が必要かもしれへんね。
神事とは神様に関する儀式のこと。
日本では昔から火や水といった森羅万象(宇宙に存在するすべてのもの)に神様が宿るという考え方があって、それはやがて神道という宗教になる。人々の暮らしの中で生まれた信仰だから教祖や経典がないのが特徴かな。
そんな神様たちの系譜や物語を書物に収めたのが日本書紀や古事記。
そこには天照大神やその弟の須佐之男命、さらに須佐之男命の子孫の大国主大神といった有名な神様が登場する話がたくさんあるんやけど、西洋に例えるならギリシャ神話をイメージしてくれたらいいかと思う。
ちなみに天照大神は伊勢神宮、大国主大神は出雲大社に祀られているよ(その他、全国各地の神社にも祀られている)。
あと余談やけど、日本には仏教もある。
6世紀に伝わった仏教については、国として認めるかどうかが豪族間の争いになったことがあるねん。これってローマにおけるキリスト教と似てるかもしれへんね。
仏教賛成の蘇我氏についた聖徳太子が、反対する物部氏との戦いに勝てるよう四天王に祈願。見事に勝利したことで建立したのが四天王寺…。というのは、また別の機会に話そうか💦
さて話を戻して神様の話。
住吉大社に祀られているのは住吉大神という神様。
住吉大神は「祓え」を司る神様。いわゆるお祓いやね。
また、航海安全の神様、農耕・産業の神様としても有名。
この御利益を求めて多くの人が訪れ、大阪の人たちからは親しみを込めて「すみよっさん」と呼ばれているんや。
そんなすごい神様を祀る住吉大社ができたときから1800年もの間、伝承されてきたのが今回の御田植神事というわけ。
華やかに、勇ましく、穀物の豊かな実りや悪疫退散を神様に祈る人々の姿。これが長い時間受け継がれてきたって思うと、僕は何だか感動してしまうんやけど、ボブはどう??

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