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沖縄よりも暑い夏の大阪!その理由をデータから解説します

観光とかかわりのある気象。大阪の気象には、分かりやすい特徴があります。
一言で表すと、実は「沖縄より暑い」のです。「暑苦しい時間が長い」という語感でしょうか。特に8月は「日本一暑い」のです。「沖縄よりも」と言われると「えーっ?」と驚くかもしれませんが、理由をデータで説明します(このリポートで平年値とは、1991年~2020年の30年間の平均値で、気象庁の公式データです)。

[目次]

夏の大阪は沖縄よりも「猛暑日が多い」!

真夏の大阪城公園にあるジョーテラス・大阪
まず「一日の最高気温の月平均」をみてみます。8月の那覇市の平年値は31.8度、大阪市の平年値は33.7度。大阪が2度近い大差をつけて勝っています。
関西で夏が暑苦しいイメージがある京都市も大阪と同じ33.7度。最高気温のデータでは、大阪は京都と横並びで沖縄を大きく上回り、単純に「沖縄より暑い」と言えます。
次に、1カ月間の気温をならした「月平均気温」をみてみましょう。
8月の平年値は那覇市、大阪市とも29.0度で、都道府県庁所在地で日本一タイ。同じ沖縄でも宮古島は28.6度、最南端の与那国島は28.7度で、大阪は宮古島や与那国島より「暑い」のです。
ちなみに京都市は28.5度で大阪市より低い。大阪は、真夏に熱気がたまり続け、逃げにくいことを示していると思います。
大阪市と那覇市の夏の比較
テレビのお天気解説でもよく出てくる「猛暑日」や「真夏日」の年間日数をチェックしてみます。
「猛暑日」とは気温が35度以上になる日、「真夏日」は30度以上になる日です。
まず「猛暑日」です。
大阪市の平年値は年14.5日。那覇はわずか年0.2日。大阪の圧勝です(京都市の年19.4日には負けますが)。25度以上の「真夏日」の平年日数で比べると、那覇市が年102.5日、大阪市が年74.9日で、さすがに沖縄に軍配が上がるのですが、沖縄は35度にまで気温が上がることがまれなのです。
大阪は「真夏日」日数では負けるが、「猛暑日」日数では勝つ。大阪は、突き抜けて異様に暑い日が沖縄より多いということを示しています。
大阪市と那覇市の年間比較
大阪府内の観測地点の「猛暑日」日数は、全国約840地点ランキング上位に、毎年のように食い込みます(京都市も)。
近年では、2016年に大阪市が年26日で8位▽2017年に大阪市と豊中市が年15日で10位▽2019年に豊中市と枚方市が年20日で15位▽八尾市が2020年に年24日で13位となっています。
沖縄には負ける「真夏日」日数も、大阪市は過去10年、75日、88日、65日、58日、81日、74日、74日、80日、70日、78日で推移。全国観測地点で「年80日以上」の常連は、沖縄各地と太平洋上の南鳥島くらい。大阪はそのレベルに近い2番手クラスと言って過言ではありません。
ただし「熱帯夜」(最低気温が25度以上の日)の日数となると、大阪市の平年値は年41.5日。年100日クラスの沖縄各地とは大きな差があります。

大阪各地の「一日の平均気温が30度以上の日」は日本トップクラスの多さ!

真夏の中之島
さらに、大阪ではだらだらと暑い日が続くことが分かるデータをもう一つ示します。
あまりなじみがないかとは思いますが、「一日の平均気温が30度以上の日」の日数です。
大阪市は2019年に年24日で、全国トップの沖縄・石垣島の年32日に次いで堂々の単独2位。同年は八尾市が3位、豊中市が5位、枚方市が9位と、大阪から4地点がベスト10入りしています。
大阪市は2020年も、年23日で沖縄・久米島と並び10位にランクイン。
大阪市、豊中市、枚方市、八尾市は「全国ベスト20入り」の常連で、大阪市は2010年にも2位を記録しました。
京都市も常連ですが、過去10年で最高順位は5位にとどまっています。
もちろん沖縄や九州南部は緯度から年平均気温が高いし、埼玉県・熊谷や高知県・江川崎、岐阜県・多治見のように40度を超える高温記録を持っている所もあるのですが、「一日の最高気温の月平均」「月平均気温」「猛暑日」「真夏日」「一日の平均気温が30度以上の日」のデータから、大阪は夏の高温が「日本代表クラス」であることが分かっていただけたと思います。「暑苦しい日が日本一多い」「沖縄より暑い」と言っても言い過ぎではないのです。

▲日本一暑いと言われる大阪では、沖縄のアイスクリームも人気!
 (大阪初出店!沖縄で大人気のブルーシールアイスクリーム アメ村店がオープン!より)

なぜ暑い?理由は大阪の地形にあり!

ではなぜ、こんな暑さになるのでしょうか。いくつかの理由が考えられます。
大阪平野は北に北摂山地、東に生駒山地と金剛山地、南に和泉山脈があり、大阪湾を挟んで西に淡路島があることから、盆地に似た地形と言えることです。京都と同じなのです。
夏に暖かい南寄りの風が入ってくると山越えでさらに昇温し、盆地なので熱風の逃げ場がありません。風が通る沖縄との大きな違いです。
大阪の地形。盆地状になっている

また、平野部が開発され尽くされ、農地や緑地、森林が少なく、大阪府の森林面積比率は30%で千葉県と並んで全国最小です。さらに都心部ではヒートアイランド現象が起こり、人工的な熱もたまります。
降雨も少なく、大阪市の平年の年間雨量は全国平均の約1,700㍉よりはるかに少ない1,338㍉です。夏場特に乾いて雨が少ないことは、狭山池や久米田池など府の中南部にため池が多いことが証明しています。
瀬戸内海式気候と内陸性気候が重なって、真夏に限っては日本一高温という特徴が出ていると思います。

冬は雪が少ないのも大阪の特徴

一方で、他の主要都市と比べて大阪は、雪も少ないのです。
大阪市の「雪日数」の平年値は13.9日ですが、雨まじりのみぞれも「雪」とカウントしており、「積雪日数」の平年値は1日、最深積雪の平年値もわずか1㌢。薄っすら積もることは積もったことを示す「0㌢」すら記録しない年が半分くらいを占め、積雪1㌢以上を記録したのは、2014年2月14日の4㌢が最後です。
珍しく雪が降った2018年1月26日の大阪市内
大阪平野は冬に雨自体が少ないうえ、気温が氷点下になることがほとんどありません。
また、日本海から流れ込む雪雲も、丹波山地にぶつかって超えられません。冬場に本州の南海上を東進する低気圧が太平洋沿岸部に雪を降らせることがありますが、大阪は太平洋から離れており、影響を受けにくいのです。
東京や名古屋はこの「南岸低気圧」による降雪がままあるため、最深積雪の平年値は、名古屋で8㌢、東京で6㌢と、大阪より積もります。関西では京都市が平年値7㌢。冬の気温が低いのと、大阪より日本海に近く、北から近江盆地に流れ込む雪雲の影響を受けやすいからです。

夏は暑く、雪は少ない大阪。夏は暑さ対策をして訪れていただければ幸いです。

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