Osaka Bob FAMILY
大人デートにもおすすめ!企画展「ミュシャ・スタイルの秘密」
まいど、キムです。
8月に紹介した堺 アルフォンス ミュシャ館の「ミュシャ芸術博覧会」(ミュシャ博)に、みんな行ったかな?
すてきな油絵やデッサン、そして宝飾品などなど、ミュシャのすばらしい才能を体感できる企画展だったね!
さて、その堺 アルフォンス ミュシャ館の学芸員さんから、新しい企画展の情報を教えてもらったんだ。
■パリで評判になった≪ジスモンダ≫を展示!
新しく始まる企画展は「ミュシャ・スタイルの秘密」。
11月20日(土)から2022年4月3日(日)まで開催されるんだ。
どんな企画展かというと、ミュシャの手法「ミュシャ・スタイル」に注目し、彼の代表的なポスター作品を中心に紹介してくれるんだって。
中でも注目はこちら!
ミュシャが初めて制作したポスター≪ジスモンダ≫!
「あなたのデッサンの繊細さ、構図の独創性、素敵な色、これらすべてがパリの人々を魅了するでしょう」とはフランスの舞台女優サラ・ベルナールの言葉。
その言葉どおり、このポスターが1895年1月1日にパリに貼りだされると、たちまち評判に!ミュシャのデザインを気に入ったサラ・ベルナールは、ミュシャと専属契約を結び、演劇ポスターや舞台制作、ジュエリーデザインを依頼するようになっていく。
さて≪ジスモンダ≫を見てみよう。
等身大に描かれたサラ・ベルナール。彼女の目線は手に持つナツメヤシの上の方にあり、そこからGISMONDAのタイトルとアーチ形に描かれたSARAH BERNHARDT(サラ・ベルナール)の文字へと続いていく。
装飾的に見えるモチーフや文字の配置から、人の視線を意識した細やかな意図を感じることができるよね。
この手法はその後のミュシャのポスターでも続いていき、1900年頃には「ミュシャ・スタイル」と呼ばれるようになったんだ。
■ミュシャの代表的なポスターに出会えるイベント!
企画展「ミュシャ・スタイルの秘密」では、こんな作品も見ることができるよ!
世界最古のシャンパーニュ・リュイナールのリトグラフ。
リュイナールは創業当初から「生きる芸術」の啓蒙を続けていて、1896年にミュシャに広告ポスターを依頼したんだ(ちなみに現在でも世界で年間30以上のアートフェアに協賛しているらしい)。
≪ジスモンダ≫と同じように縦長の画面いっぱいに女性が描かれていて、左手にはシャンパンのグラスを掲げている。この女性はポスターを見る人と商品をつなぐコミュニケーター。スパークリングを表現している女性の髪が文字へと続くのも、視線を意識しているから。
右手におそらくリキュールの元となる薬草を、そして左手には酒瓶に手を添える白いドレスの女性。
これはパリのアルコール蒸留業者のルグェ・エ・デルベルグが製造したリキュールのポスターだよ。等身大の女性と円形モチーフの構図はジスモンダと同じだね。
華やかな装飾が施されたポスター上部に目が行き、女性の手とまっすぐに降りた髪が、視線を右下のお酒へと誘導していく。
一見すると商品はぱっと目立たないけど、自然とそこへ向かっていく仕掛け。う~ん、ホントによく考えて描かれているよね。
そして、この作品は下絵も見ることができるんだ。
服で隠れる身体の線がしっかりと描かれている。デッサンの時点ですでに気品があるよね!ホントに繊細で素敵だ!
他にも≪ジョブ≫≪ランスの香水「ロド」≫など、今なお人々を魅了するミュシャ・スタイルの作品が展示される予定。
こんな感じでミュシャの代表的なポスター作品を中心に、下絵や≪装飾資料集≫を始め、ミュシャ・スタイルの手引書も紹介してくれるんだから、僕は今から観に行きたくてウズウズしてしまうよ!
■関西・大阪で美術展に行くなら、ミュシャを見にお出かけしよう
期間中はテーマ展示も予定しているんだ。
チェコ人、スラヴ人、クリスチャンとしてのミュシャの装飾表現のルーツに触れられるかも!?
「ミュシャが描いたクリスマス」……11月20日(土)~2022年1月30日(日)
「ミュシャとスラヴの民族文様」……2022年2月3日(木)~4月3日(日)
ミュシャの作品からクリスマスや復活祭のモチーフ、民族衣装に注目し、日本玩具博物館の世界のクリスマスコレクション、イースターエッグコレクションと合わせて展覧。お国柄、地域色あふれる世界の祝祭の違いが楽しめるんだ。
大阪や関西で美術展を探している人。大人デートがしたい人。ちょっと午後からお出かけしたい人にとって、堺 アルフォンス ミュシャ館はぴったりだと思う。
JR「堺市駅」と歩道デッキで直結していて、雨が降っても濡れずに行けるのもオススメポイント。
さあ、みんなも「ミュシャ・スタイルの秘密」へ行こうよ!
■ミュシャの絵画を堺の伝統文化で絨毯にするプロジェクト!
もう1つ伝えておきたいことがあるんだ!
現在、堺 アルフォンス・ミュシャ館では、ミュシャの絵画を堺の伝統技術で絨毯にするクラウドファンディングプロジェクトが進んでいるんだ。
絨毯になる作品は「クオ・ヴァディス」。縦横2メートルを超えるこの大型の油彩画だよ。
ポーランドの同名小説を主題とした油彩画で、ミュシャが44歳のときに物語の脇役の恋模様を題材にして描いたんだ。
中央に描かれている少女は、古代ローマの貴族邸宅の一室に奴隷として雇われたエウニケ。彼女が思いを寄せる主人ペトロニウスの大理石像に口づけをする場面なんだけど、その様子を背後から見つめる男性がいるよね。
実はこの男性の描写は原作にはない。だからミュシャが独自に書き加えたと考えられていて「はたしてこの男性は一体誰なのか?」は永遠の謎なんだ。
また、クオ・ヴァディスは1910年頃に絨毯の絵柄にするという計画があったものの実現にはいたらず、しかもその後40年にわたって行方不明になった謎に満ちた作品としても知られているんだ。
一方、堺には江戸時代後期から続く絨毯づくりの伝統がある。
「堺緞通」として知られるこの伝統は、明治時代の中期には欧米に輸出されるほどで、堺市は今もその手織り技術を守り続けている。
堺の伝統技術「堺緞通」で約110年前に実現できなかったクオ・ヴァディスを絨毯にする構想を成し遂げる。
これは時を超えたプロジェクトなんだ。
すでに緞通制作費に最低限の必要経費を加えた額(150万円)はクリア!
さらに完成した絨毯をベストな状態で後世に残すための費用としてネクストゴール(300万円)も達成したけれど、クラウドファンディングは継続中!
興味のある人は、ぜひ寄付してみてはどうかな。
https://readyfor.jp/projects/mucha-sakaidantsu
寄付募集は12月24日(金)午後11:00まで。
そうそう、完成した作品は2023年12月から始まる特別展「クオ・ヴァディスの謎(仮)」で展示予定らしいよ!
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